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東京地方裁判所 平成2年(特わ)517号 判決

本店所在地

東京都新宿区大久保一丁目一番一一号

東京リード株式会社

(右代表者代表取締役 山本弘)

本籍

東京都新宿区歌舞伎町二丁目四二番

住居

同都同区大久保一丁目一七番一六号 第二玉屋ビル五〇三

会社役員

山本弘

昭和一四年八月一四日生

右東京リード株式会社に対する法人税法違反、山本弘に対する所得税法違反、法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東京リード株式会社を罰金五四〇〇万円に、被告人山本弘を懲役二年及び罰金二七〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人山本弘において、右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人山本弘に対し、この裁判確定の日から五年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

東京リード有限会社は、従前埼玉県行田市大字須加四六九六番地一に、昭和六〇年九月四日から東京都新宿区歌舞伎町二丁目四二番一一-九〇六号に、昭和六一年一月一五日から同区大久保一丁目一番一一号に本店を置き、土地建物の売買等を目的とする資本金三〇〇万円、昭和六〇年九月二日から同五〇〇〇万円の有限会社であり、昭和六二年一二月一六日組織変更(昭和六三年二月二日登記)をして被告人東京リード株式会社(以下、被告会社という。)となつたもの、被告人山本弘(以下、被告人という。)は、昭和六〇年九月から同都同区歌舞伎町二丁目四二番一一号に、昭和六一年一〇月から同区大久保一丁目一七番一六号に居住し、昭和六〇年七月二四日まで個人で不動産の売買及び仲介業を営み、同月二五日以降は被告会社の取締役として被告会社の業務全般を統括し、被告会社に組織変更後その代表取締役となつたものであるが、

第一  被告人は、自己の所得税を免れようと企て、不動産の売買取引を他社名義で行い、不動産売買取引の仲介手数料、違約金収入を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六〇年分の実際総所得金額が四三九九万八〇一一円、分離課税による土地等に係る事業所得金額が九八七二万七七六七円あつた(別紙1修正損益計算書及び別紙2脱税額計算書参照)のにかかわらず、右所得税の納期限である昭和六一年三月一五日までに、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号の所轄淀橋税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告人の昭和六〇年分の正規の所得税額九三六七万九七〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、不動産の売買取引を他社名義で行い、違約金収入を除外するなどの方法により、所得を秘匿した上、

一  昭和五九年一〇月一日から昭和六〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九三九一万九一〇七円(別紙3修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一億一五一八万円あつたのにかかわらず、右法人税の納期限である昭和六〇年一一月三〇日までに、所轄の前記淀橋税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六二七一万八九〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一七三八万〇五六三円(別紙5修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が三億三八六〇万円あつたのにかかわらず、右法人税の納期限である昭和六一年一二月一日までに、所轄の前記淀橋税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億一七五六万一五〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する平成二年一月二六日付、同年二月八日付、同年三月二〇日付供述調書

一  検察官作成の捜査報告書

一  検察官弁護人作成の合意書

一  検察事務官作成の所轄税務署の捜査報告書

判示冒頭の事実につき

一  登記官作成の登記簿謄本三通

判示第一の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成二年一月二六日付、同年三月一三日付供述調書

一  収税官吏作成の被告人についての売上、仕入、支払手数料、給料手当、福利厚生費、旅費交通費、事務用品費、消耗品費、備品費、水道光熱費、通信費、接待交際費、新聞図書費、諸手数料、租税公課、支払家賃、支払利息、雑費、事業税認定損、謝礼金、給与収入金額、給与所得控除額、所得控除、源泉徴収税額の調査書

判示第二の各事実につき

一  被告人の検察官に対する平成二年三月一〇日付、同月一六日付供述調書

一  収税官吏作成の被告会社についての売上、仕入、支払手数料、期末商品棚卸高、役員報酬、給料手当、福利厚生費、旅費交通費、事務用品費、消耗品費、備品費、水道光熱費、通信費、保険料、修繕費、接待交際費、会議費、新聞図書費、諸手数料、租税公課、支払家賃、雑費、雑収入、受取利息、交際費限度超過額、支払利息、謝礼金、課税土地譲渡利益金額の調査書

判示第二の二の事実につき

一  収税官吏作成の被告会社についての期首商品棚卸高、車両費、運搬費、広告宣伝費、支払違約金、事業税認定損の調査書

(法令の適用)

罰条

判示第一の所為

被告人 所得税法二三八条一項、情状により二項

判示第二の一、二の所為

被告人 各法人税法一五九条一項

被告会社 各法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により二項

刑種の選択

判示第一 被告人 懲役刑と罰金刑の併科

判示第二の一、二 被告人 各懲役刑選択

併合加重

被告人 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の二の罪の刑に加重)

罰金刑につき同法四八条二項

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

労役場留置 被告人 刑法一八条

執行猶予 被告人 刑法二五条一項(懲役刑につき)

(求刑 被告会社につき罰金六〇〇〇万円、被告人につき懲役二年及び罰金三〇〇〇万円)

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

山本弘

〈省略〉

別紙2

脱税額計算書

昭和60年分 氏名 山本弘

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

自 昭和59年10月1日

至 昭和60年9月30日

東京リード株式会社

〈省略〉

別紙4

脱税額計算書

自 昭和59年10月1日

至 昭和60年9月30日

東京リード株式会社

〈省略〉

別紙5

修正損益計算書

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

東京リード株式会社

〈省略〉

別紙6

脱税額計算書

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

東京リード株式会社

〈省略〉

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